パルプ・フィクション(映画レビュー)

採点:70点

良かったところ

  • あらゆる作品と一線を画するシナリオ。意外性たっぷりの予定調和から外れた掴みどころのない展開。全体にぶっ飛んだ規格外の面白さがある。
  • 複数のセクションで切り取られたシーンが、並行する時間軸の中で意外なぶつかり方をして、また違う視点でのストーリーが展開される。不思議な魅力がある。
  • 予想の斜め上を行くギャグ(笑いどころ)が随所に散りばめられている「例:あっという間に戻って来る。あ、言ったわよ。それは早すぎるよ…。」
  • ジュールスとヴィンセントのコンビ。

良くなかったところ

  • 全体にドライで斜に構えた感じで、ふざけて人をおちょくってるような、いかにも自意識が強い学生が書きそうな脚本だ。それがタランティーノらしさなのかわからないが、クセが強すぎてあまり好きになれない。これは好みの問題。
  • ノローグが多いうえに長すぎてセリフが頭に入ってこないときがある。

雑感

  • 映画というよりも舞台を見ているような印象だ。セリフが多くて字幕だったらとても見ていられないだろう。モノローグが多いのも印象的だ。
  • ホンダのシビック、日本刀。
  • タランティーノがジミーとしてカメオ出演

キャリー:2013年リメイク版(映画レビュー)

採点・総評:90点

  • 面白い。そして悲しい。

良かったところ

  • 他の作品でも思ったが、強い抑圧・虐待を受けた者、逆境に置かれた者の「復讐」という筋書きは見ている者に強烈なカタルシス体験を与える、創作するうえで格好のテーマだ。
  • 復讐だけではない「強い感情」こそ作品の核のテーマとして据えるべきものなのだ(友情も愛情もその逆も)。
  • 狂気に満ちた、心を病んだ人物描写。
  • あらゆる人は各々の道理・各々の正義で生きている。だから悪い奴を描くときでも悪い奴というレッテルを貼ったような人物として描いてはいけない、ゲーテファウストで描かれる悪魔のように悪魔は悪魔としての道理と正義がある者として、そのまま坦々描写されるべきだ。そうした意味でイジメっ子の「私は何もしてないじゃない」というセリフは作為がなく実に良い。周りを振り回す自己本位な人間は自分はオカシイなんて思っているはずはなく常にその反対だと思っている。だからあらゆるハラスメントは決してなくならない。頭のオカシナやつほど周りがオカシクて自分は正常だと思っている。人物描写でもこの道理を描くべき。
  • 母親とイジメっ子の役者が特に素晴らしい。本当にそれとしか見えない。
  • ハイライトまでの展開が素晴らしい。上がってからの急行直下で怒りの大爆発。

良くなかったところ

  • 主人公のルックスは重要だと思うが、普通にかわいい、かわいらしすぎる。

雑感

  • 動画を撮ってさらすというイジメ方がリメイク版らしい。
  • 赤毛で癖っ毛のストレートパーマ。
  • プラムがない日本で良かった。

イット(映画レビュー)

採点・総評:90点

  • 少年たちと一人の少女、ひと夏の思い出。
  • 友情がテーマってやっぱり良い。

良かったところ

  • かなり強めに漂うスタンド・バイ・ミー感。そしてそこはかとなく漂うグーニーズ感、クリープ・ショー感。
  • 個性的な登場人物たち。吃音で心優しい主人公、そしてその仲間たち、近眼のお調子者(こいつが特に良い)、喘息持ちで潔癖症、肥満で臆病者のロマンチスト、などなど、それぞれに引き立て合って、見ていてワクワクする。
  • 胸糞悪くなるような悪童たち、精神的に問題を抱えた大人たち、いかにもスティーブン・キングらしい登場人物だ。こうしたやつらが出てくることでストーリーにもメリハリが出て面白くなる。
  • ただのホラーではなく、人物描写が丁で、人間関係の構図の描写に深みがある。笑えるシーンも多い。
  • 27年おきの事件、下水でつながる事件現場、点が線になり、事件の核心に迫っていく。
  • 女の子の怖がり方がすごく上手い。
  • 少年たちの友情、廃墟と洞窟の決戦、女の子を助ける、鉄板。

良くなかったところ

  • 排水口のピエロやゾンビ風の化け物たちが、見た目に怖くない。
  • 原作に忠実なのだろうが、やや登場人物が多すぎて、しっかり描ききれていない。
  • ビバリーを助けたのが主人公ではないってのがなんだか腑に落ちない。

雑感

ボーン・アイデンティティー(映画レビュー)

採点:60点

良かったところ

  • 誰だかわからない謎の人物、見ているものを強力に聞きつけて、引っ張っていく要素は大切。
  • 記憶喪失の男と放浪癖のある女、行きずりの二人に芽生える情愛。「忘れっこないだろ、君しか知らないのに」というセリフがよい。
  • 螺旋階段の最上階からデブの敵をクッションにして飛び降りて途中の敵を撃ち抜くところ。でもそこまでしなくても敵一人倒せる気がする。

良くなかったところ

  • 悪くはないが、いまいち盛り上がりに欠ける気がする。
  • テーマはよいが、ストーリーにアッと思わせるような捻りが足りないから面白みに欠ける。

雑感

アナベル:死霊博物館(映画レビュー)

アナベル 死霊博物館(吹替版)

アナベル 死霊博物館(吹替版)

  • マッケナ・グレイス
Amazon

採点・総評:60点

  • 怖いけど怖くないところもけっこうあって微妙だけど全体としては楽しめる。
  • お化け屋敷と同じ、どちらかというと子供向けの映画だ。

良かったところ

  • 人形のデザインが秀逸。どこからみても怖い。
  • 怖い雰囲気を演出する画面づくりがよくできている。
  • 前作と違って、ジュディという悪魔コンサル夫婦?の娘が霊能力が合って、それで困難を乗り越えようとするところ。

良くなかったところ

  • 死霊博物館ってなんだ? そこにまた入ってはいけない部屋があり、入る気満々の人物が闖入してきて、雑に置かれたカギが置いてある。いかにも取ってつけたような安直な設定で興ざめする。
  • ウォーレン夫妻の仕事が悪魔研究コンサルタントっていうのもなんだか。死霊博物館を自宅にして家族住まいしているのもおかしい。
  • 続編を作る既定路線だったので、とりあえず作った感がある。
  • 悪魔の姿をしっかり描いているが、それが一番怖くない。女の子をじりじりと怖がらせるのが好きな変わった悪魔という感じ。
  • 目の玉コインマンが全く怖くない。

雑感

  • この作品の続編は、撮影クルーが人形に襲われる設定にしたらどうか? 3作目の撮影、映画の中の映画という設定で、撮影外でも人形が実際に動き出して災いを招きはじめる流れにする、そのほうがより現実味が増して怖くなる気がする。

アナベル:死霊人形の誕生(映画レビュー)

アナベル 死霊人形の誕生(吹替版)

アナベル 死霊人形の誕生(吹替版)

  • ステファニー・シグマン
Amazon

採点・総評:55点

  • ちゃんと怖さを楽しめるけど、納得いかない展開が多く、後味もよくない。

良かったところ

  • 人形の登場シーンが怖すぎる。というか元々の人形の顔が怖すぎる。
  • 色々ベタなネタやシーンが多いが、ちゃんと怖くて、ちゃんと楽しめる。
  • 暗闇の描写。

良くなかったところ

  • 「魂をくれ」というセリフで振り向いたシーンの表情がよくない。ここはいかにも化け物風に描かずに、無機的な笑みを浮かべた人形にしたらもっと怖かったはずだ。
  • 階段は自動椅子じゃなくても降りられるだろう。それに入ってはいけない不気味な部屋に何度も入っていくのも不自然だ。
  • 孤児院の子どもたちが身ぎれいすぎる。
  • マリンズさんがあっさり殺られてしまったところ、もっと最後まで頑張ってほしかった。
  • 悪霊の家に孤児を招いておいて、自分以外の子どもの犠牲者まで生み出す夫婦。悪霊を閉じ込めた部屋なら、孤児を招く際にもっと厳重にトビラを壁で塗り込めておけばよかったのに、とか色々ツッコミどころが多い。
  • 悪魔のビジュアルがダサい。
  • 怖がらせることが大好きな悪魔と子どもたちの鬼ごっこに見える。

雑感

  • 「スマイル」と同じ、いわゆる悪霊・悪魔ネタ。
  • プレゼントの人形が、アナイアレイターのジャケットと同じじゃないか。

かもめ食堂(映画レビュー)

採点・総評:70点

  • 露骨なエンタテイメント性はなく、取り立ててドラマと言ったものはなく、感性で雰囲気を楽しむ映画なので、評価には個人差があると思う。

良かったところ

  • ゆるくてふしぎな世界観、なにかずっと浸っていたくなるような空気感。
  • いずれも一癖ある個性的な登場人物。
  • もたいが出てきて空気が変わる。やっぱり猫が好きを見慣れているせいもあるだろうが、やはり小林聡美との相性は抜群だ。
  • まるでムーミン谷の登場人物のようだ。どこに住んでいるのか何が目的なのかよくわからない人たちが集まって話が紡がれる。

良くなかったところ

  • なし

雑感

  • なぜフィンランド
  • フィンランド語の長台詞を覚えるのは大変そうだ。
  • 「やりたくないことをしないだけ」「ボーっとするのは難しい」「ずっと同じではいられない、人は変わっていくものですから」なんだかメモしたくなる言葉がちらほら出てくる。
  • おにぎりが食べたくなる。
  • さちえ、まさこ、みどり。かもめ三姉妹。