グリーン・マイル

採点・総評:90点

良かったところ

  • 胸糞悪くなるパーシーがいるからこそ、主人公とその同僚たちの職業意識の気高さや、その凛とした性格が引き立って気持ちが良く感じさせる。そしてドラマも成り立つ。悪どいキャラクター・トラブルメーカーは映画の中で際立たせるべき花を花として輝かせる不可欠な要素だ。
  • いかつい見た目の大男の死刑囚(差別意識が特に濃厚な時代の黒人)。本当は心の優しい、相手を治すヒーリングの魔法を持った奇跡起こす大男。相手に痛みを代わりに引き受けて何も言わない。イエス・キリスト

良くなかったところ

  • なし。

フォレスト・ガンプ(映画レビュー)

採点・総評:90点

  • 荒唐無稽で、ご都合主義なストーリーなのだが、どこか胸が打たれる。それはフォレストの真摯かつ一途な性格と、それに裏打ちされた人生態度に打たれるのだろう。余韻が素晴らしい。テーマソングもよい。
  • 仕事や人間関係で気持ちがささくれ立っているときに見ると良さそう。

良かったところ

  • キャラクター(主人公)がよい。タイトル通り、この主人公がこの映画のすべてだ。ひたむきで真っ直ぐな性格の主人公の言動に、笑わされたり、驚かされたり、純真なまでの優しさに感動したりしながら、主人公のキャラクターに惹かれて見てしまう映画だ。
  • ジェニーの人生との対比による構図。そのジェニーに対する一途な恋も、この映画を魅力的にしている重要なファクターだ。
  • 歴史的映像(歴史的人物とトム・ハンクスが一緒の映像に写っている)演出もこの映画の代名詞だろう。ウォーターゲート事件なども知っている人には笑えるシーンになっている。
  • フォレストがバカよばわりされたときダン中尉が怒ったシーンにぐっときた。表立っては出てこないが、実は深い部分で相手を信頼していた、感謝していた、大事に思っていたという気持ちが垣間見えたからだろう。こうした隠された感情を描くことは友情にしても愛情(恋愛)にしても、普段は隠されている分その色合いが強まるので、見るものの心もより強く打つことができるようだ。つまり、ツンデレというやつか。
  • なんの理由もなく走り続けるところは、あまりにも荒唐無稽でツッコミどころ満載なのだが(どう考えてもありえないのだが)理屈よりも面白さ優先で判断したのだろう。実際それで良かった。映画としては、映画の脚本としてはそれで良かったのだ。
  • 「死は人生の一部」「前に進むために過去は置いていけ」。名作映画に名言あり。「チョコレートの箱は開けてみないとわからない」以外にも響く言葉はたくさんある。

良くなかったところ

  • なし

雑感

運び屋(映画レビュー)

採点・総評:90点

  • 核となるアイデアと年輪を刻んだイーストウッドの絶妙の組み合わせ。
  • 派手さはないが、染み入る面白さ。
  • 「結局は時間だ。なんでも買えるけど時間は買えないものだ」名言だ。
  • 家族がいる人は定年退職する前に見ておこう。

良かったところ

  • 結末が気になる。最後まで見させるための「惹きの力」がある。
  • 90歳に近い超高齢者が、麻薬の運び屋家業をはじめる。この唯一無二のアイデアが(ギャップによるインパクトの強さが)この作品の最大の魅力である。
  • やはり「他にはないアイデア」というのは強みになる。
  • まさかこの老人が、と誰もが思う、優秀な捜査官の目も欺く。ギャップによるカモフラージュで捜査が混乱するところは、この映画のアイデアだからこそ出てくる面白さだ。
  • 家族・マフィア・警察。信頼と裏切り。
  • 家族より仕事を優先してきたことを後悔している男。運びや家業で命の危険もある中で家族のための(妻の死を看取るための)最後の選択肢を迫られる。さらに捜査の手も寸前まで迫ってきている状況。これまでの伏線が効果的にぜんぶ噛み合ったラストへの持っていき方になっていてすごいと思った。

良くなかったところ

  • イーストウッドでなければ、作品として成立したか微妙。
  • 麻薬の運び屋をやっていたという事実に(最後まで主人公の勝手で犯罪者の家族にまでさせられたという事実に)娘と孫の態度が変わらなかったのは、少し違和感を感じた。

雑感

  • 多田野曜平の吹き替えがすごい、山田康雄イーストウッドにしか聞こえない。全編を通してイーストウッドの吹き替えをするのはこれが初めてのようだが、全く違和感がない。枯れた感じの声だけというのがよかったのだろう。「ルパン三世デッドオアアライブ」の映画の吹き替えで多田野曜平バージョンをぜひ見てみたい。
  • 山田康雄はクリントイーストウッドより2歳若いが、両者の実年齢はほぼ同じだ。山田康雄がずっとやっていたらどうなったかもみたかった気がする。

キャストアウェイ(映画レビュー)

採点・総評:85点

  • 人生のどん底に落ち込んだ時にこそ見よう!

良かったところ

  • キャラクター(時間至上主義の男)と世界観が相乗効果を与えている
  • 飛行機の墜落シーンのリアリティ
  • キャラクター紹介と墜落シーンまでの導線で、この作品は観客の心を掴むことに成功している。
  • 死体もかなりリアル。
  • フェデックス社員として荷物にしばらく手をつけなかった。そして1つだけ荷物を残してそれを届けるために生きる理由とした。
  • 虫歯もリアル。
  • 助かったあとの描写。もっとも感情的になるべきシーンをあえて淡々と描いている。ほとんどセリフもない。だからそのごのケリーとの雨の中の抱擁が生きてくる
  • ケリーと二度目の別れをした後のモノローグ「これからどうすべきかわかってる。息をして生きるんだ。明日も日は上るんだからな。潮が何を運んでくるかわからない」
  • ラストシーン「それで、お前は、どっちに進むのか?」と聞かれているようだ。

良くなかったところ

  • チャックとケリー。家に押しかけて出会うシーンが都合が良すぎて不自然。

雑感

  • VHS「下水から鉱物廃物利用」
  • やはりサバイバルの優先順位は、水、住処、火
  • ディスカバーチャンネルのエドが好きなやつは、必ずみるべき映画(サバイバル好きにオススメ?
  • 最愛の人はすでに別の人の妻になっている。それを夫となっている男から聞かされる時の表情。あまりにも辛い。

鹿の王:ユナと約束の旅(映画レビュー)

採点・総評:30点

  • 可もなく不可もなく。

良かったところ

  • 特になし。あえて言えば作画が安定している。

良くなかったところ

  • 原作者のこだわりなのだろうが「トゥ」「ツァ」「ツォ」「ファ」とか、固有名詞が覚えにくい。
  • やはり重要なのはキャラクターだということがわかる。肝心のキャラクターに魅力が感じられないので、まったく作品世界に入っていけない。

雑感

  • もののけ姫」的なシーンが随所にみられる。
  • 比較しても仕方ないが、平板な演出を見ていると宮崎駿のすごさがよくわかる。

イット THE END(映画レビュー)

採点・総評:65点

  • 力作であり、前作とのつながりもしっかり描いていて、シーンごとに見れば面白いところ・感動するところも多いが、行き当たりばったりな展開が目立っていて、全体として結局なにがなんだかよくわからなかった。

良かったところ

  • 森の中にある地下基地で、みんなが子供自体に(前作の役者に)に戻るシーン。前作からみていた人は胸が熱くなるシーンだ。
  • ベバリーが元の住居を訪ねたときにいたババアの迫力がすごい。
  • 故郷の街に帰り、それぞれが失った記憶を取り戻すために、思い出の場所で思い出の品を見つけていくところ。
  • ラストシーン。結局これはルーザーズという少年少女の友情物語なんだ。

良くなかったところ

  • 3時間とずいぶん長い。下手すると映画2本分だ。もう少し短くできたはずだ。
  • それの正体と倒し方がいまいち曖昧模糊としていてわかりづらい。宇宙人?悪口に弱い?

雑感

アイ・アム・レジェンド(映画レビュー)

採点・総評:50点

  • 要約すればゾンビ物で、映像の技術的な点を除けば、内容そのものとしては実に薄っぺらい。ワールド・ウォーZを思い出した。

良かったところ

  • がんの完全な治療薬、誰一人いない廃墟のようなビル街、そのビル街のど真ん中を疾走する一台の車、つかみはOK。見るものを一気に作品世界に惹きつける。あとはすべてそのオマケのようなものだ。
  • 愛犬のサマンサがゾンビになって殺さざるを得ないシーン。

良くなかったところ

  • やはりゾンビもの。感染とゾンビは相性が良い、そうしてネタとして鉄板なのだろうが、それ以外の展開があるのかと期待したところが裏切られた感じがある。
  • 一人の寂しさに頭がおかしくなったあとに、人に出会っても感動がなく何も話すことがなく「悪いがしばらく一人にしておいてくれ」ってどういうことだ。
  • リアリティに欠ける。ラストシーンの車がピカピカの新車なところも。

雑感

  • 廃墟のNY。ずいぶんと金のかかったセットだ、いやCGだ。脚本としてアイデアがあっても金と技術が伴わなければ映画にできない作品だ。
  • クリピン・ウイルス。
  • 脚本はアキヴァ。
  • ある意味元気な感染者たち、雄叫びシーンが笑える。